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チーズという奇跡

偶然が生んだ人類最古の発酵食の魅力に迫る

人類の食文化において、チーズは最も古く、最も偶然の産物だったかもしれない。
その起源には諸説あるが、ある遊牧民がヤギの胃袋でできた袋に乳を入れて旅をしたところ、しばらくして中身が固まり、乳清とカードに分離していた。腹が減っていた彼はそれを恐る恐る口にした。すると、それは予想外に美味だった──そんな奇跡的偶然が、チーズの始まりだったという。

この話が真実かどうかは定かでないが、チーズは紀元前6000年頃にはすでに中東・中央アジアで作られていたとされる。
乾燥地帯での保存食としての役割から、やがて西へと伝わり、古代ギリシャ・ローマを経てヨーロッパ各地に広がった。
地中海沿岸ではオリーブやワインとともに発酵文化の三本柱として発展し、アルプスを越えた先では、冷涼な気候が熟成チーズを育てた。
イタリアでは**ミルクの旨味を濃縮する「芸術」として、パルミジャーノやゴルゴンゾーラのようなチーズが磨かれ、
フランスでは
香りと熟成を極める「文化」として、ブリーやロックフォールが誕生した。
さらにスイスやオランダでは、保存性と栄養価を重視したグリュイエールやゴーダといった大型のハードチーズが生まれた。
チーズの歴史とは、まさに人類の移動と知恵の軌跡そのものである。

100を超える顔を持つ、ミルクの変奏曲

世界には1,000種類を超えるチーズが存在し、牛・羊・ヤギといったミルクの種類、熟成方法、地理的条件によってその姿も味も大きく変わる。ここでは代表的なチーズたちをいくつか紹介しよう。

  • パルミジャーノ・レッジャーノ(伊)
     「チーズの王様」とも呼ばれ、最低でも12ヶ月以上の熟成を経て生まれる芳醇な旨味が特徴。すりおろしてパスタにかけるだけでなく、塊をそのままワインと楽しむのも贅沢な体験。
  • ブリーチーズ(仏)
     表皮に白カビをまとい、中はとろりとした口当たり。熟成が進むにつれ、ナッツのような香ばしさと深いコクが立ち上がる。白ワインとの相性は抜群。
  • ゴルゴンゾーラ(伊)
     イタリアを代表する青カビチーズ。ピリッとした塩気とカビの芳香、そしてクリーミーな舌触りがクセになる。蜂蜜やドライフルーツと合わせて味のコントラストを楽しみたい。
  • タレッジョ(伊)
     表皮を塩水で洗いながら熟成させるウォッシュタイプ。香りは強めだが、中身は驚くほどまろやかで、パンとの相性は絶品。
  • スカルモルツァ(伊)
     モッツァレラの仲間で、軽く燻製されていることが多く、香ばしさが特徴。焼いても美味しく、アヒージョやグラタンに使うと香りが際立つ。
  • コンテ(仏)
     フランス・ジュラ地方産のハードタイプ。熟成期間の長さで味わいが劇的に変化する。ナッティでバターのような風味があり、赤ワインとのペアリングも秀逸。
  • ロックフォール(仏)
     羊乳を使ったフランスの青カビチーズの代表格。鋭くシャープな風味と塩気は、甘口のワインと合わせると絶妙なバランスを奏でる。
  • カマンベール(仏)
     ブリーに似た白カビタイプだが、よりミルキーで繊細。日本でも広く親しまれており、ワイン初心者にも親しみやすい存在。

それぞれに“物語”がある

チーズの魅力は、その味わいや香りだけではない。
どれもその土地の気候・文化・家畜・人の知恵が結晶化した、食べる物語だ。
パルミジャーノの硬質な食感にはイタリア農民の保存への知恵が詰まり、ウォッシュタイプにはアルプスの気候と共存する工夫がにじむ。

また、チーズは熟成によって味が変化する。
若い頃はミルキーで優しく、熟成が進むと個性が立ち、時に強烈に、時に崇高な香りを放つようになる。
この「変化」こそが、チーズを芸術の域にまで押し上げている理由だろう。

プラナバルカで味わえる、5つの個性

当店「プラナバルカ」でも、以下のような個性豊かなチーズを取り揃えている。
お食事の合間や、ワインとの余韻を楽しむ時間に、ぜひチーズという芸術に触れてみてほしい。

  • ゴルゴンゾーラ(¥500)
  • パルミジャーノ・レッジャーノ(¥420)
  • タレッジョ(¥460)
  • スカルモルツァ(¥450)
  • ブリーチーズ(¥450)

また、すべてを少しずつ楽しめる**「チーズ5種盛り合わせ(¥2,000)」**もご用意しております。
お好きなワインと共に、ぜひ気軽に“食の旅”をお楽しみください。

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