グラスの中で、そっと揺れる白いデザート。
なめらかで、やさしくて、口の中で静かにとろける甘さ。
「パンナコッタ(Panna cotta)」は、どこか懐かしさを感じるイタリアンドルチェのひとつです。
名前の意味は、“煮たクリーム”
「パンナコッタ」は、イタリア語で
“panna”=生クリーム、“cotta”=煮た
という意味のシンプルな言葉。つまりそのまま「煮た生クリーム」という、素材そのもののような名前です。
卵を使わず、生クリーム・砂糖・ゼラチン(または寒天)を優しく温めてから冷やし固める。
ミルクのやわらかな風味と、とろける口当たりが魅力です。

北イタリア・ピエモンテ地方の農家が起源?
パンナコッタの起源は諸説ありますが、有力なのはイタリア北部・ピエモンテ地方。
20世紀初頭、地元の農家が余ったクリームを無駄にしないようにと考案した「家庭の知恵」から生まれたとされます。
砂糖やゼラチンが手に入りやすくなった時代と重なり、
やがてレストランやカフェの定番ドルチェとして、イタリア中へ、そして世界へと広まっていきました。
プラナバルカでは“会えたらラッキー”な一皿
実はパンナコッタ、プラナバルカの定番メニューには載っていません。
ですが、パーティーコースのデザートとしてはよく登場する定番ドルチェであり、
ランチタイムでは、日替わりのドルチェとして“運が良ければ出会える”一皿でもあります。
その時のコースや食材に合わせて、ベリーやカラメル、柑橘などのソースが添えられ、
シンプルな中にもシェフの遊び心が光る、“食後のひそかな楽しみ”として密かな人気を集めています。
おうちでつくる、やさしいパンナコッタレシピ
「お店の味は難しそう…」と思われがちですが、パンナコッタは家庭でも比較的かんたんに作れるドルチェです。
材料は少なく、火を使う時間も短め。冷やしておくだけなので、前日に作っておけるのも嬉しいポイントです。
【家庭で作れる!シンプルパンナコッタのレシピ(2〜3人分)】
材料
- 生クリーム:200ml
- 牛乳:100ml
- 砂糖:大さじ2(約25g)
- 粉ゼラチン:5g(ふやかすタイプなら水大さじ2で戻しておく)
- バニラエッセンス:少々(なくてもOK)
作り方
- 鍋に生クリーム、牛乳、砂糖を入れて中火にかけ、沸騰直前まで温める(※沸かさないように注意)
- 火を止め、ゼラチンを加えてしっかり溶かす
- バニラエッセンスを加えて混ぜ、こし器で漉しながら容器に注ぐ
- 粗熱を取ってから冷蔵庫で3時間以上冷やせば完成!
仕上げに、フルーツソースやエスプレッソソースをかけても美味しく仕上がります。
甘さ控えめ、大人のデザートとして
パンナコッタは、甘さの調整がしやすいドルチェでもあります。
甘さを抑えめにし、酸味や苦味のあるソースを添えることで、
ワインの余韻を引き立てる“大人の食後”にぴったりな一皿になります。
プラナバルカでも、そんなスタイルのパンナコッタがときどき登場します。
もし運よく出会えたら、その日をちょっといい日にしてみてください。
次回は、海の恵みたっぷりの「ペスカトーレ」という名前の意味と、漁師料理としてのルーツをご紹介します。
